1 通勤災害の考え方
通勤災害については、労災保険法の中に明確な定義を定めています。つまり、通勤災害とは、労災保険法第七条第一項第二号に、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」をいうと定めており、ここにいう「通勤」とは同条第二項に「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」とし、同条第三項に、「労働者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は、第一項第二号の通勤としない。
ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない」とそれぞれ定めています。
したがって、これらの規定をいかに解釈するかということを明らかにすることにより、通勤災害か否かの認定を行うことができます。
これらの規定を解釈しますと、ある災害が通勤災害と認められるためには、第一に労災保険法に定める通勤の途上での災害であることが必要となり、第二に災害が通勤によるものと認められることが必要となります。
★1・通勤遂行性
通勤遂行性とは、「災害の発生時に労災保険法に規定される通勤を行っていたこと」をいい、ある災害が通勤災害として認められるための前提要件となります。
したがって、通勤災害という場合の「通勤」とは、人が仕事に就くため、又は帰宅のために行われるものというような一般的な意味における通勤を直接意味しているわけではなく、労災保険法に規定される通勤を意味しているのです。
それでは、労災保険法に規定される通勤とは、どういうことなのかを次に示してみましょう。 労災保険法に規定される通勤とは、次の各要件のすべてを満たすものをいいます。
@ 労働者であること。 A 自宅等の「住居」と会社、工場等の「就業の場所」を始点又は終点とする往復行為であること。
B 往復行為が業務に就くため、又は業務を終えたことにより行われるもの、すなわち、「就業に関し」行われるものであること。
C 往復行為が社会通念から見て、「合理的な経路及び方法」により行われるものであること。
D 往復行為が、映画鑑賞やバー、キャバレーでの飲酒等の「逸脱又は中断」のないものであること。
E @〜Dの要件を満たす往復行為が出張等の「業務の性質を有するもの」でないこと。
|