3.通勤起因性
★2.天災地変による場合
1 災害の発生状況
被災労働者は、当日、K地方に集中豪雨があったため、通勤経路である道路の崩壊のおそれがあること、また、姉が経営する美容院の裏のがけ崩れの危険もあるので、姉と一緒に早く帰宅しようと思い、上司の許可を得て、午後4時30頃(所定の就業時間は午後5時)に早退し、マイカーで帰途についた。
午後4時35分頃に美容院から50メートル離れた前の空地に駐車し、姉を迎えに美容院に入った直後、裏山のがけが崩れ、その建物が全壊し、姉とともにその下敷きとなって死亡したものである。
現場は、国道沿いであり、幅員が焼く8メートルある国道も、土砂で埋まり、ここを通った自動車も土砂に襲われ乗っていた2名も被災している。なお。通常の通勤状況は、マイカーに姉を乗せ、通勤途中にある美容院前で降ろして出勤し、退勤時は、午後5時30分頃まで美容院に立ち寄り、営業時間の終了する午後6時まで待って、それから姉を乗せて帰宅していたものである。
2 認定のポイント
被災労働者が姉を迎えに美容院に立ち寄った行為が「ささいな行為」に該当するか、また、当該美容院内でのがけ崩れによる災害を「通勤による」ものといえるかどうか。
3 結論及び理由
通勤災害と認められる。
(理由) @ 本件については、次の事実から姉と一緒に直ちに帰宅しようとしているものと推定され、一般に労働者が通勤の途中で行う「ささいな行為」として取り扱うのが相当と認められる。
イ・当該地方を襲った集中豪雨のため、通勤経路である道路が崩壊するおそれがあったので帰宅できなくなると考えられること、また、姉が経営する美容院の裏にあるがけが崩れ、美容院が倒壊する危険性があると考えられたこと等から早く姉を同乗させ帰宅しようとして会社を早退していること。
ロ・災害が美容院に入った直後(入ってから4分位と推定されること。)に発生していること。
ハ・美容院には、客がいなかったことから、待たずにすぐ帰ることができたものと考えられること。
A 次に本件災害が「通勤による」ものであるかどうかであるが、当該被災労働者の通勤経路及び当該美容院は通称「シラス」と呼ばれる雨に対してはきわめて軟弱な土質の上にあり、一般にこのような場所を通勤する労働者にとっては、雨が降れば常に土砂崩壊による災害を被る危険が内在しているものであるので、本件災害もかかる危険が、被災当日、当該地方を襲った局地的な集中豪雨によって具体化したものと認められる。
B したがって、本件災害は通勤に通常伴う危険が具体化したものと認められるので、労災保険法第7条第1項第2号の通勤災害に該当するものである。
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