2.通勤遂行性の事例
★1.就業に関して
通勤とは、労働者が「就業に関し」住居と就業の場所との間を往復する行為をいいますが、この「就業に関し」とは就業行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨を示すものです。つまり、通勤と認められるには、往復行為が業務と密接な関連を持って行われることを要することを示すものです。
ここで、まず、労働者が、被災当日において業務に従事することになっていたか否か、又は現実に業務に従事したか否かが問題となります。
この場合、所定の就業日に所定の就業場所で所定の作業を行うことが業務であること はいうまでもありません。また、事業主の命令によって物品を届けにいく場合にも、これが業務となります。また、このように本来の業務でなくても、全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いとされるような会社主催の行事に参加する場合等は業務と認められます。さらに、事業主の命令を受けて得意先を接待し、あるいは、得意先との打合せに出席するような場合も、業務となります。
これとは逆に、このような事情のない場合、例えば、休日に会社の運動施設を利用し に行く場合はもとより、会社主催ではあるが参加するか否かが労働者の任意とされているような行事に参加するような場合には、業務となりません。ただし、そのような会社のレクリエーション行事であっても、厚生課員が仕事としてその行事の運営にあたる場合には当然業務となります。
また、事業主の命令によって労働者が拘束されないような同僚と懇親会、同僚の送別会への参加等も、業務とはなりません。さらに、労働者が労働組合大会に出席するような場合は、労働組合に雇用されていると認められる専従役職員については就業との関連性が認められるのは当然ですが、一般の組合員については就業との関連性は認められません。
A イ 次にいわゆる出勤の場合の就業との関連性についてですが、所定の就業日に所定の 就業開始時刻を目途に住居をでて就業の場所へ向かう場合は、寝過ごしによる遅刻、あるいはラッシュを避けるための早出等、時刻的に若干の前後があっても就業との関連性があることはもちろんです。
他方、運動部の練習に参加する等の目的で例えば、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合には、当該行為は、むしろ当該業務以外の目的のために行われるものと考えられますので、就業との関連性はないと認められることになります。
ロ 次にいわゆる退勤の場合ですが、この場合にも、終業後直ちに住居へ向かう場合は 就業に関するものであることについては問題がありません。このことは、日々雇用される労働者の場合でも同様です。
また、所定の就業時間終了前に早退をするような場合であっても、その日の業務を終了してかえるものと考えられますので、就業との関連性が認められます。
尚、通勤は一日について一回のみしか認められないものではなく、昼休み等就業の時間の間に間隔があって帰宅するような場合には、昼休みについていえば、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられますので、その往復行為は就業との関連性が認められることになります。
また、業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性が認められることになります。
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