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6.判例

4.労働時間

三菱重工業長崎造船所事件 最一小判平12.3.9

1.事案の概要

三菱重工業長崎造船所は、完全週休2日制の実施に際して、1日7時間30分の労働時間を8時間に延長し、一般部門の労働時間を午前8時から正午まで及び午後1時から午後5時まで、休憩時間を正午から午後1時までと就業規則を改定した。また、始終業基準として、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、所定の始業時刻に作業場で実作業を開始すること、午前の終業については所定の終業時刻に実作業を中止し、午後の始業に間に合うよう作業場に到着すること、所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うことを定めた。 これに対し、一般部門で働く労働者が、
(1) 入退場門から更衣所までの移動時間
(2) 作業服への更衣、安全保護具等の装着と作業場までの移動時間
(3) 午前・午後の始業時刻前の資材の受け出し、午前の始業時刻前の散水に要する時間
(4) 午前の終業時刻後に作業場から食堂等まで移動し、控所で作業服を脱離する時間
(5) 午後の始業時刻前に作業場等に移動し、作業服等を再着用する時間
(6) 午後の終業時刻後に作業場等から更衣所まで移動して作業服を脱離する時間
(7) 手洗い、洗面、洗身、入浴等に要する時間
(8) 更衣所等から入退場門まで移動する時間

の各時間はいずれも労基法32条が定める1日8時間労働制に違反すると主張して、8時間を超える時間外労働に該当する(1)〜(8)の各行為に対する割増賃金等の支払いを求めた。

2.判決の要旨(主文)

労働者側一部勝訴((2)、(3)、(6)について労基法上の労働時間性が認められた)。

3.判決の要旨(理由)

労基法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を言い、それに該当するか否かは客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされた時は、当該行為は特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができる。

労働時間性を否定した(1)、(7)、(8)については、指揮命令下の労働とは言えず、(4)、(5)については、休憩時間の自由利用の原則に抵触しない旨の判断を行っている。

4.解説

使用者は、労働者に、1週間について40時間を超えて労働させてはならず、1日について8時間を超えて労働させてはならない。これを週40時間1日8時間の原則という。実際の労働時間がこの法定労働時間を超える場合には、時間外労働の要件を満たさない限り、罰則の適用があり、かつ割増賃金支払義務が生じる。 労働時間には、現実に作業している時間だけでなく、作業と作業の間の大気時間である「手待時間」も含まれる。「労働時間」は、「労働者が使用者の指揮監督の下にある時間」であると解されてきた。裁判例の多くは、この指揮命令下説に立っている。

 


 

 

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