6.判例
3.退職金
丸一商店事件 大阪地判平10.10.30
1.事案の概要
退職金規程はなく、退職金共済制度にも加入していなかった被告会社に対して、事務員として雇用されていて解雇された労働者が、解雇予告手当と退職金を請求した事件である。
2.判決の要旨(主文)
労働者側勝訴。
3.判決の要旨(理由)
本件では、求人票に退職金共済制度への加入が明示されていたのであるから、被告会社は退職金共済制度に加入すべき労働契約上の義務を負っていたというべきであり、原告は、被告会社に対し、少なくとも、仮に被告会社が退職金共済制度に加入していたとすれば原告が得られたであろう退職金と同額の退職金を請求する労働契約上の権利を有するというべきである。雇用契約の内容になっていた退職金共済制度への加入を被告会社が怠ったことによって、事実上の退職金の支払を免れることは、相当でない。そして、退職金共済制度としては、明示がない限り、中退金制度を指すものと解すべきである。
掛け金を自由に設定できる中退金制度において、現実に加入していなかった以上、加入していた場合の退職金を仮定することは本来不可能であるが、少なくとも、中小企業退職金共済法における最下限の掛け金によって計算した退職金については、被告に支払義務があるということができる。
4.解説
実際に退職金共済制度に加入していなくても、求人票に退職金があること、退職金共済制度に加入することが明示されていた場合には、別段の合意をすることなど特段の事情がない限り労働契約の内容になり、退職金支払義務がある。
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