労働者派遣事業関係業務取扱要領 総目次
第9 派遣先の講ずべき措置等
4 派遣受入期間の制限の適切な運用
(1) 概要
(2) 意義
(3) 派遣受入期間の制限を受ける業務の範囲
令第4条で定める業務
(4) 派遣受入期間の制限の適切な運用
(5) 派遣受入期間の設置方法等
(6) 派遣受入期間の適切な運用のための留意点
(7) 派遣受入期間の制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けた場合の取扱い
イ:概要
厚生労働大臣は、派遣受入期間の制限を越えて労働者派遣の役務の提供を受けている者に対し、法第48条第1項の規定による指導又は助言をしたにもかかわらず、その者がなお当該派遣就業を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる(法第49条の第2第1項)。
また、厚生労働大臣は、派遣受入期間の制限を越えて労働者派遣の役務の提供を受けており、かつ、当該労働者派遣の役務の提供に係る派遣労働者が当該派遣先に雇用されることを希望している場合において、当該派遣先に対し、法第48条第1項の規定により指導又は助言をしたにもかかわらず、当該派遣先がこれに従わなかったときは、当該派
遣先に対し、当該派遣労働者を雇入れるよう勧告することができる(法第49条の2第2項)。
厚生労働大臣はこれらの勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる(法第49条の2第3項、第13の3参照)。
ロ:雇入れの指導又は助言、勧告、公表の内容
(イ)法の規定により派遣先に対し派遣労働者を雇入れるように指導又は助言、勧告する際には、当該派遣労働者の希望による場合を除き、期間の定めなき雇用によるよう指導又は助言、勧告する。
(ロ)勧告に従わなかったときの公表の際には、企業名及び所在地、事業所名及び所在地並びに指導、助言、勧告及び公表の経緯について公表する。
ハ:権限の委任
勧告に関する厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長が行うものとする。ただし、厚生労働大臣が自らその権限を行うことは妨げられない。
ニ:雇入れの指導又は助言、勧告、公表の手続き
(イ)勧告の対象となる事案を把握してから原則として1か月以内に、指導又は助言を経て勧告すべく手続きをとる。指導又は助言、勧告の決定は厚生労働大臣又は都道府県労働局長が行う。公表の決定は厚生労働大臣が行なう。
なお、最終的に勧告の前提となる段階における指導及び助言並びに勧告については、文書により期限を設けて行う。
雇入勧告書には、当該勧告に従わない場合は、その旨を公表することがある旨を記載する。又、併せて公表方法を示すものとする。
(ロ)雇入勧告を行うことを決定した場合には、次の様式による雇入勧告書を作成し、当該雇入勧告の対象となる者に対して交付する。
(ハ)また、勧告から原則として1か月以内に公表すべく手続をとる。公表の方法は、ロの(ロ)の内容からなる資料を作成し、新聞発表することによる。
(ニ)なお、上記の目的はあくまで派遣労働者の雇用の安定を図ることであることにかんがみ、個別の事案に即して弾力的な対応を図ること。
ホ:雇入れ勧告の対象となった派遣先と派遣労働者の法的関係雇入れ勧告を行うケースは、派遣元事業主と派遣先との間で、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について労働者派遣契約が派遣受入期間を超えて締結されることが想定し難い中では、すでに労働者派遣契約の根拠なく、又、派遣元事業主と派遣労働者の間の雇用契約の根拠なく、事実上派遣先において就業を継続している状態であって、さらに勧告の実施要件を満たしている場合と考えられる。
このため、派遣先が労働者派遣契約による授権がない中で、派遣労働者の指揮命令を継続している状態を前提として、以下のような法解釈が行えると考えられる。
(イ)派遣労働者が派遣元事業主との雇用契約を解除したり、雇用契約期間が満了する等派遣元事業主との雇用関係が既に終了している場合には、派遣先との雇用関係が成立していると推定でき、訴訟において、派遣労働者は、勧告の内容に従った雇用関係の確認や損害賠償請求を行うことが可能である。
(ロ)派遣元事業主との雇用関係が終了していない場合であっても、勧告の実施後派遣労働者が派遣元事業主との雇用関係を終了させれば、(イ)と同様の請求が可能である。
(注)
派遣元事業主は、法律上派遣先の「同一の業務」に就いて派遣受入期間を超えて労働者派遣を行ってはならない義務を課せられており(法第35条の2)、違反に対しては、許可の取り消し等の行政処分のみでなく、直接罰則も付されることから、派遣受入期間を超える労働者派遣の締結は想定し難い。
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